委員長挨拶
農学知的支援ネットワーク(JISNAS:Japan Intellectual Support Network in Agricultural Sciences)は、2009年11月30日の設立以来、農学分野で教育、研究、社会貢献等に係わる国際活動への参加の意図を有する大学等の高等教育機関間の連携および我が国の国際農業研究機関との連携の促進において大きな役割を果たしてきており、今後はさらに広い範囲での国際機関等への活動の一層の拡がりが期待されています。
近年、新興国を中心とする食需要の多様性が益々広がる中で、食料安全保障と栄養改善目標、環境保全を前提とした持続的生産へのアプローチとして、先進国が蓄積してきている基礎的知見を技術として確立し、実社会へ馴化していく上で、フィールドサイエンスの担うべき役割が一層重要性を増しています。
世界の農林水産業現場は、地球規模の農学的課題や新たな学術的知見の創出が見込まれる研究シーズを豊富に包含し、課題解決と基礎研究の成果の現場への適用を実現する場として、また農学領域の学問分野を統合した新たなアプローチの開発と実践およびそのための教育・人材育成の場としてもきわめて重要です。そのような現場を重視して、大学等の高等教育機関は、若い研究者・技術者をどう育てていくかについての知見、経験を蓄積、交流し、そして本来総合的学問である新たな農学の創造に貢献することが求められています。
JISNASを通じた農学分野における、国際的な教育・研究・協力活動における連携の推進は、途上国の人材育成に加え、国際教育、国際共同研究、国際協力に関わる我が国の人材の育成にも寄与するところが大きく、国際社会における我が国の大学・研究機関、国際機関等の役割の強化に繋がります。
関係各位の、JISNASの活動に対する温かいご理解とご支援、また積極的なご参画をお願い申し上げます。
2021年4月1日
農学知的支援ネットワーク
運営委員長山内 章