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<報告>令和3年度JICA課題別研修(集団)「アフリカ地域 稲作振興のための中核的農学研究者の育成」

令和3年度JICA課題別研修(集団)「アフリカ地域稲作振興のための中核的農学研究者の育成」を令和3年10月21日~11月26日にかけて実施しました。平成24年度から始まった本研修も、第4フェーズの1年目になります。新型コロナ感染症の収束がみられないことから、昨年度に続いて研修講義をオンラインで実施、さらに昨年度は実施しなかった演習や実験の技術的な内容についても、動画教材を作成してオンライン実施に臨みました。CARDイニシアティブ対象国であるサブサハラアフリカ諸国のうち、昨年度の研修生も含め、8ヶ国より15名が参加し、当該国の稲作の安定化や増収などに向けた課題の把握と解決のための研究アプローチに係る主プログラムについて、Zoomを使ってオンラインの双方向ライブ形式で実施しました。その概要をご報告いたします。

令和3年度の参加国(8ヶ国15名)

ブルンジ(1)、ケニア(2)、マダガスカル(3)、スーダン(1)、ウガンダ(2)、ザンビア(3)、カメルーン(1)、シエラレオネ(2)

各国レポート・キックオフディスカッション【10月21日】

Screenshot 2021-10-21 19.38.02_1-2.pngScreenshot 2021-10-21 19.38.24_2-2.png研修初日に、研修員は各国の農業の概要と稲作の課題をレポートし、参加者で情報を共有しました。名古屋大学、島根大学、九州大学、鹿児島大学より留学生や研究員にもご参加いただきました。

コア研修【10月22日~11月5日】

各講義の担当講師は各所属機関からコンテンツを配信し、研修員は母国の所属機関等から接続、参加をしました。参加国間ならびに日本との時差を考慮し、講義等の開始時間を日本時間の17時からとして実施しました。

日本における稲作の収量向上と安定化を成した要素技術の開発と普及についてのレビュー、アジアにおける稲作の発展段階ごとの技術開発、品種の育成、形態と生理、土壌肥料、病害、害虫、雑草、栽培管理法に関する稲作研究の要点を学び、さらに、それらの知識を自身のリサーチプラン作成に活かすための実験計画法と統計処理の基本を学びました。

個別研修【11月8日~23日】

演習や実験・実習の技術的内容、フィールドビジットに代わる内容の研修のために、作物・栽培学、作物生理学、遺伝・育種学の3グループの講師陣が合計で30本の映像教材を作成し、研修員はそれぞれの専門性に従って3グループに分かれて研修に参加しました。前半のコア研修、個別研修とも、講師陣の研究室で学ぶAgri-Net長期研修員や留学生、大学院生、研究員も聴講者として、あるいはTA的な参加者として加わり、研究紹介を行う時間も設けるなどして、本邦大学の研究室での研究環境や雰囲気が伝えられるように工夫をして研修を実施しました。

研修計画発表会・閉講式【11月24日~26日】

研修最後の3日間にて、研修で習得した内容を今後の課題に対する計画や取組みについて、各研修員より発表を行い、参加者で情報を共有しました。名古屋大学、島根大学、高知大学、九州大学より講師の先生方、留学生や研究員にもご参加いただきました。すべての研修日程が終了後、閉講式を行い、研修員に修了証が授与されました。

まとめ

スクリーンショット 2021-11-26 19.54.25(2).png10年目となる本研修は、JICAのアフリカ稲作振興のためのイニシアティブ(CARD)に対する大学の協力の一環と位置づけており、中長期的な農学研究者の育成が重要であるとの認識のもと、JISNAS会員大学・機関の協力を受けて実施しました。

前年度に引き続きコロナ禍の状況にて、今年度はコア研修だけでなく、演習や実験の技術的な内容の個別研修もオンラインでの実施という新しい試みではありましたが、講師の先生方に映像教材の作成に携わっていただき、研修員も積極的に研修に取り組んでいる姿が伺えました。次年度の研修では、来日が可能であれば、個別研修は対面での実施ができればと考えています。

最後に、本研修にご尽力いただきましたコア研修・個別研修にて講義をご担当いただいた先生方、映像教材作成にご協力いただいた先生方、キックオフディスカッション・研修計画発表会にご参加いただいた先生方、JISNAS関係者の皆様、研修運営のご支援をいただいたJICA中部の関係者の皆様に感謝申し上げます。

報告記事

学術雑誌「農学国際協力」Vol.20に下記掲載しております。
 ○JICA 研修報告:オンラインによる「アフリカ地域稲作振興のための中核的農学研究者の育成」のコア研修・個別研修の実施
 https://icrea.agr.nagoya-u.ac.jp/jpn/journal/backnumber.html#entry000379


カテゴリ: JISNASの活動 |掲載日: 2022年4月18日