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<報告>令和4年度JICA課題別研修(集団)「アフリカ地域 稲作振興のための中核的農学研究者の育成」

令和4年度JICA課題別研修(集団)「アフリカ地域稲作振興のための中核的農学研究者の育成」を令和4825日~930日にかけて実施しました。平成24年度から始まった本研修も、第4フェーズの2年目、通算11年目となりました。本年度は3年ぶりに来日が可能になり、新型コロナ感染症予防対策として、コア研修の一部はオンラインを、また、状況によりオンラインと対面を併用するハイブリッド形式も採用する工夫を含めて実施しました。CARDイニシアティブ対象国であるサブサハラアフリカ諸国のうち、昨年度の研修生も含め、7ヶ国より8名が参加し、当該国の稲作の安定化や増収などに向けた課題の把握と解決のための研究アプローチについて研修に励みました。その概要をご報告いたします。

令和4年度の参加国(7ヶ国8名)

マダガスカル(2)、モザンビーク(1)、ナイジェリア(1)、セネガル(1)、シエラレオネ(1)、タンザニア(1)ウガンダ(1)

各国レポート・キックオフディスカッション【8月25日】

研修初日に、研修員は各国の農業の概要と稲作の課題をレポートし、参加者で情報を共有しました。明治大学、名古屋大学、九州大学より留学生や研究員にもご参加いただきました。

コア研修【8月26日~9月9日】

各講義の担当講師はJICA中部もしくは各所属機関からコンテンツを配信し、研修員はJICA中部(スタート時点では隔離施設)で参加をしました。8月中はオンラインにて、9月より対面での研修を実施し、昨年度作成した映像教材も研修に活用しました。

日本における稲作の収量向上と安定化を成した要素技術の開発と普及についてのレビュー、アジアにおける稲作の発展段階ごとの技術開発、品種の育成、形態と生理、土壌肥料、病害、害虫、雑草、栽培管理法に関する稲作研究の要点を学び、さらに、それらの知識を自身のリサーチプラン作成に活かすための実験計画法と統計処理の基本を学びました。

愛知県農業総合試験場水田研究室(愛知県安城市)、四谷千枚田(愛知県新城市)にて現地研修を実施することができ、実際に研究施設や現場に触れて、時間いっぱいまで質問する研修員の姿が見られました。

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愛知県農業総合試験場水田研究室での現地研修の様子
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四谷千枚田での現地研修の様子
個別研修【9月12日~28日】

コア研修終了後、研修員は、それぞれ事前にマッチングを行った5つの協力機関(JIRCAS、明治大学、九州大学、宮崎大学、鹿児島大学)に移動し、研修員個々の専門分野の知識や研究手法等を深めることを目的とした「個別研修」に参加しました。当該研修員を対象に各々オリジナルメニューで専門性を高めるとともに、研修で学んだことを踏まえ、受入教員の指導やアドバイスを受けながら、帰国後の実施を想定した研究計画「リサーチプラン」の作成に取り組みました。受入機関の先生方には、新型コロナ感染症予防にご配慮をいただき、研修員の指導カリキュラムやリサーチプラン作成の指導等、大変お世話になりましたことを感謝申し上げます。

研修計画発表会・閉講式【9月29日~30日】

研修の締めくくりにあたり、JICA中部に再集合し、リサーチ計画発表会を開催しました。その主な目的は、研修で培った知識と自国の現状をふまえ、アフリカ稲作分野における研究課題とその解決に向けた取り組みの方向性についての議論を深めること、また、アフリカ地域稲作振興に関わるアフリカ人及び日本人関係者との人的ネットワークの形成を支援することであり、各大学での個別研修にてさらに知見を深めた研修員の発表とともに活発な議論がなされました。JIRCAS、名古屋大学、島根大学、九州大学、より研修講師、受入機関の先生方、留学生や研究員にもご参加いただきました。すべての研修日程が終了後、閉講式を行い、研修員に修了証が授与されました。

まとめ

220930閉講式.JPG本研修は、JICAのアフリカ稲作振興のためのイニシアティブ(CARD)に対する大学の協力の一環と位置づけており、中長期的な農学研究者の育成が重要であるとの認識のもと、JISNAS会員大学・機関の協力を受けて実施しました。

本年度もコロナ禍の状況ではありましたが、3年ぶりに来日研修を実施し、昨年に続いて参加した研修員も複数あり、長期研修参加を希望する方も多く、とても参加意欲が高く積極的に研修に取り組んでいた印象があります。

最後に、本研修にご尽力いただきましたコア研修・個別研修にてお世話になりました先生方、映像教材作成にご協力いただいた先生方、キックオフディスカッション・研修計画発表会にご参加いただいた先生方、JISNAS関係者の皆様、研修運営のご支援をいただいたJICA中部の関係者の皆様に感謝申し上げます。

報告記事

学術雑誌「農学国際協力」Vol.21に下記掲載しております。
 ○JICA 課題別研修報告:「アフリカ地域稲作振興のための中核的農学研究者の育成」実施報告
 https://icrea.agr.nagoya-u.ac.jp/jpn/journal/backnumber.html#entry000379


カテゴリ: JISNASの活動 |掲載日: 2023年4月18日