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<報告>令和5年度JICA課題別研修(集団)「アフリカ地域稲作振興のための中核的農学研究者の育成」

令和5年度JICA課題別研修(集団)「アフリカ地域稲作振興のための中核的農学研究者の育成」を、令和5630日~810日にかけて実施しました。平成24年度から始まった本研修も、第4フェーズの3年目、通算12年目となりました。本年度は、新型コロナ感染症の影響が落ち着いたことで、コア研修、個別研修とも対面で、場合によりオンライン対応で実施しました。CARDイニシアティブ対象国であるサブサハラアフリカ諸国のうち、6ヶ国より8名が参加し、当該国の稲作の安定化や増収などに向けた課題の把握と解決のための研究アプローチについて研修に励みました。その概要をご報告いたします。

令和5年度の参加国(6ヶ国8名)

コンゴ民主共和国(1)、マダガスカル(2)、セネガル(1)ウガンダ(2)、ザンビア(1)、エチオピア(1)

インセプションレポート(IR)発表会【6月30日】・コア研修【7月3日~14日】

研修初日に、研修員は各国の農業の概要と稲作の課題を発表し、参加者で情報を共有しました。個別研修の受入の先生にもご参加いただきました。

その後、コア研修として、各講義の担当講師は対面(場合によりオンライン)で講義を実施し、研修員は皆積極的に意見交換等議論を交わしました。稲体の構造、形態形成と生理機能、日本、東南アジアならびにアフリカにおける栽培、イネの遺伝と品種育成、土壌肥料と植物栄養、イネの病害の特徴と防除、害虫や雑草の種類と管理,稲作研究に携わるための実験デザインの考案と成果の統計的解析、また、アフリカのフィールドにおける稲作推進に向けた課題の抽出と改善に向けて、これまで取り組まれた方策の例などを中心に、23コマの講義、1コマのセミナー、2回の見学を通じて、稲作研究の要点を学び、さらに、それらの知識を自身のリサーチプラン作成に活かすための実験計画法と統計処理の基本を学びました。現地研修先では、実際に研究施設や現場に触れ、時間いっぱいまで熱心に質問する研修員の姿が見られました。

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6/30:IR発表会の様子
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7/12:ライスセミナーの様子
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7/14:四谷千枚田(愛知県新城市)での現地研修の様子
個別研修【7月19日~8月7日】

コア研修終了後、研修員は、それぞれ事前にマッチングを行った5つの協力機関(JIRCAS、名城大学、高知大学、宮崎大学、鹿児島大学)に移動し、研修員個々の専門分野の知識や研究手法等を深めることを目的とした「個別研修」に参加しました。当該研修員を対象に各々オリジナルメニューで専門性を高めるとともに、そこで学んだことを踏まえ、受入教員の指導やアドバイスを受けながら、帰国後の実施を想定した各自の調査研究プロジェクトにおけるリサーチプランの作成に取り組みました。さらには、将来の学位取得を希望する者は、受入教員より、学位プログラムへの入学に向けたアドバイスを受けることができました。受入機関の先生方には、新型コロナ感染症予防にご配慮をいただき、研修員の指導カリキュラムやリサーチプラン作成の指導等、大変お世話になりましたことを感謝申し上げます。

研修計画発表会【8月9日】

研修の締めくくりにあたり、JICA中部に再集合し、研修計画発表会を開催しました。研修で培った知識と自国の現状をふまえ、アフリカ稲作分野における研究課題とその解決に向けた取り組みの方向性についての議論を深めること、また、アフリカ地域稲作振興に関わるアフリカ人及び日本人関係者との人的ネットワークの形成を支援することであり、各大学での個別研修にてさらに知見を深めた研修員の発表とともに活発な議論がなされました。名古屋大学、高知大学、島根大学より研修講師、受入機関の先生方、留学生にもご参加いただきました。

まとめ

本研修は、JICAのアフリカ稲作振興のためのイニシアティブ(CARD)に対する大学の協力の一環と位置づけており、中長期的な農学研究者の育成が重要であるとの認識のもと、JISNAS会員大学・機関の協力を受けて実施しました。

本年度は新型コロナ感染症の影響が落ち着きつつありましたが、関係者の体調等によるオンライン対応、体調を崩した研修員が医師の判断で早期帰国となりメールベースでの対応、台風の影響により研修員が研修計画発表会および閉講式に集合できずオンライン対応等、予期せぬ変更がありましたが、関係者の皆様のご協力により無事終了できましたことを心よりお礼申し上げます。

将来の学位取得を希望する方もあり、研修員は皆、とても参加意欲が高く積極的に研修に取り組んでいた印象があります。また、過去に参加経験のあった方が大使館推薦の国費留学生として来日予定であるなど、本研修の実施期間において、研修員の交流や、日本人研究者との連携強化に向けた機会として効果を発揮し、研修員の更なる研究力の向上とキャリアアップの支援、アフリカ諸国間の研究交流、日アフリカ諸国の共同研究の推進、SDGsへの貢献に結びつくことを期待しています。

最後に、本研修にご尽力いただきましたコア研修・個別研修にてお世話になりました先生方、見学を受け入れていただいた愛知県農業総合試験場、鞍掛山麓千枚田保存会、そして、JISNAS関係者の皆様、研修運営のご支援をいただいたJICA中部の関係者の皆様に感謝申し上げます。


カテゴリ: JISNASの活動 |掲載日: 2023年10月18日