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<報告>2024年度JICA課題別研修(集団)「アフリカ地域稲作振興のための中核的農学研究者の育成」

2024年度JICA課題別研修(集団)「アフリカ地域稲作振興のための中核的農学研究者の育成」を、2024628日~89日にかけて実施しました。2012年度から始まった本研修も、第5フェーズの1年目、通算13年目となりました。CARDイニシアティブ対象国であるサブサハラアフリカ諸国のうち、8ヶ国より8名が参加し、当該国の稲作の安定化や増収などに向けた課題の把握と解決のための研究アプローチについて研修に励みました。その概要をご報告いたします。

2024年度の参加国(8ヶ国8名)

ブルンジ、カメルーン、マダガスカル、モザンビーク、ナイジェリア、セネガル、スーダン、ジンバブエ より各1

各国レポート、キックオフディスカッション【6月28日】

研修初日に、研修員は各国の農業の概要と稲作の課題をレポートし、参加者で情報を共有しました。ハイブリッド開催とし、JIRCAS、名古屋大学、島根大学、宮崎大学、鹿児島大学より研究者および学生の皆さまにもオンラインでご参加いただきました。

コア研修【7月1日~7月12日】

各講義の担当講師はJICA中部にて対面での講義を行い、研修員は皆積極的に参加し、意見交換を行いました。日本における稲作の収量向上と安定化を成した要素技術の開発と普及についてのレビュー、アジアにおける稲作の発展段階ごとの技術開発、品種の育成、形態と生理、土壌肥料、病害、害虫、雑草、栽培管理法に関する稲作研究の要点を学び、さらに、それらの知識を自身のリサーチプラン作成に活かすための実験計画法と統計処理の基本を学びました。本年度は、ライスセミナーの企画を拡大し、元研修員の留学生が自身の研究テーマでの日本における研究活動等の経験を共有するセミナー、また工農連携の例としてプラズマ科学の農業への応用等を紹介するセミナーを行いました。
 現地研修として、愛知県農業総合試験場水田研究室(愛知県安城市)、四谷千枚田(愛知県新城市)へ足を運び、実際に研究施設や現場に触れて、時間いっぱいまで質問する研修員の姿が見られました。
 ■千枚田での研修を掲載いただきました:
  四谷の千枚田だより No251 

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愛知県農業総合試験場にて
個別研修【7月17日~8月6日】

コア研修終了後、研修員は、それぞれ事前にマッチングを行った5つの協力機関(JIRCAS、名古屋大学、島根大学、宮崎大学、鹿児島大学)に移動し、研修員個々の専門分野の知識や研究手法等を深めることを目的とした「個別研修」に参加しました。当該研修員を対象に各々オリジナルメニューで専門性を高めるとともに、研修で学んだことを踏まえ、受入教員の指導やアドバイスを受けながら、帰国後の実施を想定した研究計画「リサーチプラン」の作成に取り組みました。受入機関の先生方には、研修員の健康管理にご配慮をいただき、指導カリキュラムやリサーチプラン作成のご指導、各機関や研究室の交流等、大変お世話になりましたことを感謝申し上げます。

研修計画発表会・閉講式【8月8-9日】

研修の締めくくりにあたり、JICA中部に再集合し、リサーチ計画発表会を開催しました。その主な目的は、研修で培った知識と自国の現状をふまえ、アフリカ稲作分野における研究課題とその解決に向けた取り組みの方向性についての議論を深めること、また、アフリカ地域稲作振興に関わるアフリカ人及び日本人関係者との人的ネットワークの形成を支援することであり、各大学での個別研修にてさらに知見を深めた研修員の発表とともに活発な議論がなされました。JIRCAS、名古屋大学、島根大学、宮崎大学、鹿児島大学、より研修講師、受入機関の先生方、留学生にもオンラインでご参加いただきました。すべての研修日程が終了後、閉講式を行い、研修員に修了証が授与されました。

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閉講式にて

まとめ

本研修は、JICAのアフリカ稲作振興のためのイニシアティブ(CARD)に対する大学の協力の一環と位置づけており、中長期的な農学研究者の育成が重要であるとの認識のもと、JISNAS会員大学・機関の協力を受けて実施しました。
 コロナ禍でのオンライン形式で開催した研修に参加した経験のある研修員もおり、周りの者を議論に引き込むなどの配慮を示す者も複数あり、高い積極性をもって研修に取り組んでいた印象があります。本年度は、ライスセミナーの企画を拡大し、次に向けては、これまでの研修参加経験者にも範囲を広げて情報交流の機会として検討をしていきたいと思っています。今後は、異なる研修プログラムに参加する研修員との交流、研修員のフォローアップ等を通じて、アフリカ地域における研究ネットワークの充実につなげていけたらと考えています。
 最後に、本研修にご尽力いただきましたコア研修・個別研修にて講義をご担当いただいた先生方、見学を受け入れていただいた愛知県農業総合試験場、鞍掛山麓千枚田保存会、そして、JISNAS関係者の皆様、研修運営のご支援をいただいたJICA中部の関係者の皆様に感謝申し上げます。

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四谷千枚田にて


カテゴリ: JISNASの活動 |掲載日: 2024年11月 1日