<報告>2025年度JICA課題別研修(集団)「アフリカ地域稲作振興のための中核的農学研究者の育成」
2025年度JICA課題別研修(集団)「アフリカ地域稲作振興のための中核的農学研究者の育成」を、2025年6月25日~8月8日にかけて実施しました。2012年度から始まった本研修も、第5フェーズの2年目、通算14年目となりました。CARDイニシアティブ対象国であるサブサハラアフリカ諸国のうち、6ヶ国より7名が参加し、当該国の稲作の安定化や増収などに向けた課題の把握と解決のための研究アプローチについて研修に励みました。その概要をご報告いたします。
2025年度の参加国(6ヶ国 7名)
エチオピア(1)、スーダン(2)、南スーダン(1)、ウガンダ(1)、ジンバブエ(1)、ザンビア(1)
各国レポート、キックオフディスカッション【6月25日】
研修初日に、研修員は各国の農業の概要と稲作の課題をレポートし、参加者で情報を共有しました。ハイブリッド開催とし、名古屋大学、明治大学、宮崎大学より研究者および学生の皆さまにもオンラインでご参加いただきました。
コア研修【6月26日~7月11日】
各講義の担当講師はJICA中部にて対面での講義を行い、研修員は皆積極的に参加し、意見交換を行いました。日本における稲作の収量向上と安定化を成した要素技術の開発と普及についてのレビュー、アジアにおける稲作の発展段階ごとの技術開発、品種の育成、形態と生理、土壌肥料、病害、害虫、雑草、栽培管理法に関する稲作研究の要点を学び、さらに、それらの知識を自身のリサーチプラン作成に活かすための実験計画法と統計処理の基本を学びました。本年度のライスセミナーでは、元研修員の留学生が自身の研究テーマでの日本における研究活動等の経験を共有するセミナー、また工農連携の例として昨年に続き、プラズマ科学の農業への応用等を紹介するセミナーを実施しました。
現地研修として、6月30日にライスセミナーに先立ってプラズマ農業研究の実践の場であるPLASMA Farming NU-FMV Lab(東郷町)および愛知県農業総合試験場 作物研究部水田利用研究室(安城市)、7月9日に四谷千枚田(愛知県新城市)へ足を運び、実際に研究施設や現場に触れて、たくさんの質問を投げかける研修員の姿が見られました。また、本年度は、コロナ禍以降では初めてとなるつくば研修を実施しました。7月10日には、つくば市内にある食と農の科学館の訪問、国際農林水産業研究センターでの研修を行い、7月11日は、JICA筑波にてフィールドデイへの参加、圃場の見学、JICA筑波の他コース研修員との研究交流が実施できました。
■四谷千枚田での研修を掲載いただきました:
四谷の千枚田便り_第262号
7/10-11: つくば市での研修にて |
個別研修【7月15日~8月1日】
コア研修終了後、研修員は、それぞれ事前にマッチングを行った7大学(明治大学、名城大学、三重大学、京都大学、島根大学、宮崎大学、鹿児島大学)に移動し、研修員個々の専門分野の知識や研究手法等を深めることを目的とした「個別研修」に参加しました。当該研修員を対象に各々オリジナルメニューで専門性を高めるとともに、研修で学んだことを踏まえ、受入教員の指導やアドバイスを受けながら、帰国後の実施を想定した研究計画「リサーチプラン」の作成に取り組みました。受入機関の先生方には、研修員の健康管理にご配慮をいただき、指導カリキュラムやリサーチプラン作成のご指導、各機関や研究室の交流等、大変お世話になりましたことを感謝申し上げます。
TICAD9プレイベント「日・アフリカユースキャンプ」への参加【8月5日~6日】
TICAD9の開催に先立ち、JICA中部で開催された日本の学生とアフリカ出身留学生が自然科学をテーマに議論する本イベントへ、研修員も参加をし、多くの研究者や学生等参加者との意見交換を行いました。本イベントには、個別研修を受入いただきました研究室のみならず、これまでコア研修や個別研修でお世話になったJISNAS会員大学の方々に留学生や日本人学生の派遣等ご協力をいただき、参加者の皆さまとの交流を深めることができました。
研修計画発表会・閉講式【8月7日・8日】
研修の締めくくりにあたり、JICA中部に再集合し、リサーチ計画発表会を開催しました。その主な目的は、研修で培った知識と自国の現状をふまえ、アフリカ稲作分野における研究課題とその解決に向けた取り組みの方向性についての議論を深めること、また、アフリカ地域稲作振興に関わるアフリカ人及び日本人関係者との人的ネットワークの形成を支援することであり、各大学での個別研修にてさらに知見を深めた研修員の発表とともに活発な議論がなされました。研修講師や受入機関の先生方や学生の皆さまにもオンラインでご参加いただきました。すべての研修日程が終了後、閉講式を行い、研修員に修了証が授与されました。
まとめ
本研修は、JICAのアフリカ稲作振興のためのイニシアティブ(CARD)に対する大学の協力の一環と位置づけており、中長期的な農学研究者の育成が重要であるとの認識のもと、JISNAS会員大学・機関の協力を受けて実施しました。
研修員は皆、参加意欲が高く、講義や見学においても時間内にカバーしきれないほど、積極的な発言や研修員相互の意見交換がみられ、周りの者を議論に引き込むなどの配慮を示す者も複数あり、高い積極性をもって研修に取り組んでいた印象があります。本年度は、ライスセミナーの企画や、つくばでの他研修参加者との交流(左写真)や現地研修、TICAD9プレイベントでの参加者との交流等を実施することができた。j異なる研修プログラムに参加する研修員との交流、研修員のフォローアップ等を通じて、アフリカ地域における研究ネットワークの充実につなげていけたらと考えています。
最後に、本研修にご尽力いただきましたコア研修・個別研修にて講義をご担当いただいた先生方、見学を受け入れていただいた愛知県農業総合試験場、鞍掛山麓千枚田保存会、そして、JISNAS関係者の皆様、研修運営のご支援をいただいたJICA中部の関係者の皆様に感謝申し上げます。
カテゴリ: JISNASの活動 |掲載日: 2025年12月 1日




