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<報告>令和2年度JICA課題別研修(集団)「アフリカ地域 稲作振興のための中核的農学研究者の育成」

令和2年度JICA課題別研修(集団)「アフリカ地域稲作振興のための中核的農学研究者の育成」を令和3年2月11日~2月24日に実施しました。本研修は平成24年度から始まり、今回が第3フェーズと通算9年目になり、その間の研修参加者は29ヶ国から100名に達しました。本年度はCARDイニシアティブ対象国であるサブサハラアフリカ諸国から、6ヶ国6名が参加し、当該国の稲作の安定化や増収などに向けた課題の把握と解決のための研究アプローチを学びました。
 昨年度までの本研修事業では、JICA中部と名古屋大学における2週間程度の「コア研修」(講義、演習、見学)の後に、研修員の専門性に従ってマッチングを行ったJISNAS会員大学・機関へ研修員を派遣し、個々の専門分野の知識や研究手法等を深めることを目的とした3週間程度の「個別研修」を実施してきました。しかし、本年度はコロナ禍で短期研修員の来日が困難なことから、コア研修に相当する講義等の主なプログラムを、Zoomを使ったオンラインの双方向ライブ形式で実施しました。その概要をご報告いたします。

令和2年度の参加国(6ヶ国)

ブルンジ、ケニア、マダガスカル、スーダン、ウガンダ、ザンビア  より各1名

各国レポート・キックオフディスカッション【2月11日】

アフリカ稲作2021.2.11.png研修初日に、研修員は各国の農業の概要と稲作の課題をレポートし、参加者で情報を共有しました。グループディスカッションでは、以前に当研修事業で個別研修をご担当いただいた弘前大学、島根大学、JIRCASからもご参加いただきました。

コア研修【2月11日~2月24日】

各プログラムの担当、講師はJICA中部あるいは各所属機関からコンテンツを配信し、研修員は母国の所属機関等から参加しました。参加国間、ならびに日本との時差を考慮し、講義等の開始時間を日本時間の17時からとして実施しました。

日本における稲作の収量向上と安定化を成した要素技術の開発と普及についてのレビュー、アジアにおける稲作の発展段階ごとの技術開発、品種の育成、形態と生理、土壌肥料、病害、害虫、雑草、栽培管理法に関する稲作研究の要点を学び、さらに、それらの知識を自身のリサーチプラン作成に活かすための実験計画法と統計処理の基本を学びました。

評価会・閉講式【2月24日】

アフリカ稲作photo1_2021.2.24.png研修員は2グループに分かれて、今回の研修に参加した感想や気づき、自身のリサーチプラン立案に向けて参考となった点、困難であった点、各講義科目の時間配分(時間配分の拡大を希望する内容、短縮してもよいと思われる内容)などについてディスカッションを行い、そのグループディスカッションの結果を相互に紹介して意見交換する機会を持ちました。

すべての研修日程が終了後、閉講式を行いました。閉講式は、はじめにJICA中部の竹中成文課長より閉講の辞が述べられ、続いて、研修実施機関である名古屋大学農学国際教育研究センターの江原宏センター長の挨拶の後、研修員一人ひとりにコア研修修了証が授与されました。最後に、研修員を代表し、Ms. KANGUYA Lorna(ザンビア)から答辞が述べられました。

まとめ

研修スケジュール9年目となる本研修は、JICAのアフリカ稲作振興のためのイニシアティブ(CARD)に対する大学の協力の一環と位置づけており、中長期的な農学研究者の育成が重要であるとの認識のもと、JISNAS会員大学・機関の協力を受けて実施しました。

今回は初めてのオンライン形式での開催にて、研修員もオンラインでの研修プログラムに参加することは初めてであり、研修開始からの数日は対面とは異なる環境で発言のタイミングなどに戸惑いがみられたり、接続、映像のフリーズ、音声が途切れる、画面の共有等のトラブルが発生しましたが、研修が進むに従い、チャットの活用等、研修員からの工夫もみられ、活発な質問が繰り返されるなど、双方向のライブ配信の効果が得られ、研修員相互の意見交換にもつながりました。

この研修に参加した経験のある元短期研修員の中には、JICA「食料安全保障のための農学ネットワーク(Agri-Net)」プログラムの長期研修員(留学生)として再来日し、学位取得プログラムに参加している方もいます。本研修の実施期間が、研修員の交流や、日本人研究者との連携強化に向けたマッチング期間として活用され、研修員のさらなる研究力の向上とキャリアアップの支援、アフリカ諸国間の研究交流、日アフリカ諸国の共同研究の推進、そして上位目標となるサブサハラアフリカにおける稲作振興、収量、生産性の増大、米生産量の倍増に効果を発揮できることを期待し、その貢献を目指して研修プログラムを改善していきたいと考えています。

最後に、本研修にご尽力いただきましたコア研修の講義をご担当いただいた講師の先生方、キックオフディスカッションに参加いただいた先生方、JISNAS関係者の皆様、研修運営のご支援をいただいたJICA中部の関係者の皆様に感謝申し上げます。

研修スケジュール◆日本語:2020 Schedule


カテゴリ: JISNASの活動 |掲載日: 2021年3月31日