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概要報告:「コロナ禍における大学教育、留学生受入時に関する大学の対応や課題についてのアンケート」

新型コロナウィルス感染症の世界的な蔓延は、開発途上国において実施されている国際協力の現場に大きな影響を及ぼしており、中でも現場における技術指導を中心として展開されてきた農業協力は、遠隔での指導など新たな活動方法の模索が続いています。また、留学生の受け入れという形で農業協力の一端を担っている大学においても、その受入や教育における新たな試みが始まっています。
 このような社会的背景から、2020年12月11日にオンラインにて開催した第9回JICA-JISNASフォーラムでは、「コロナ禍における大学教育と農業協力」をテーマとして、農業協力におけるJICAおよび大学による新たな試みを共有し、withコロナの時代の農業協力の在り方や、大学が担う国際協力の新たな展開について議論を行いました。このフォーラムに先立ち、JISNASでは会員大学における現在の授業の実施や留学生の指導などに関する状況を把握するため、標記アンケートを実施しました。お忙しいところご協力いただき感謝申し上げます。アンケート結果の概要についてご報告いたします。

アンケート方法・内容

・調査期間: 2020年10月27日(火)~11月18日(水)

・調査対象: 農学知的支援ネットワーク(JISNAS)団体会員

・調査方法: 電子メールでの調査票ファイルの配布と回収

・有効回答数: 41件(34大学41部局)

・調査項目:
 1. コロナ禍における貴学でのオンラインでの授業の実施方法について
  1) 授業の形態
  2) 上記1)の授業方法の中で最も多い形態
  3) オンライン教育について推奨しているシステム
  4) 3)に示したシステムが推奨されている理由
  5) 生じたトラブル
  6)オンライン授業について実施している工夫
 2. コロナ禍における貴学での留学生の受入れについての状況や対応について
  1) 留学生の入学についての対応
  2) 上記 1)の対応の中で最も多いケース
  3) コロナ禍における留学生の受入れについて新たな特別措置の有無
  4) (3)有と回答)新たな特別措置及び措置の内容
 3. 遠隔入学又は母国で待機中の留学生に対する教育・研究指導への課題や工夫
 4. 海外キャンパスを設置している場合、コロナ禍における状況、課題や工夫

集計結果

1. コロナ禍における大学でのオンライン授業の実施方法について

1)授業の形態(回答数:74件, 複数回答可)

図1-1R.jpg双方向が17.6%オンデマンドが16.2%双方向とオンデマンドの組み合わせが16.2%双方向・オンデマンドと対面の組み合わせが40.5%その他9.5%i.双方向と対面の組み合わせ、ii.前期は双方向で後期は対面との組み合わせ、iii.座学はオンラインで実験実習は対面、iv.前期は双方向とオンデマンドで後期はそれらに対面を組合せ、v.状況に応じてオンラインと対面とを組み合わせて実施)であった。オンラインによる「双方向(ライブ)とオンデマンドに対面を組み合わせた形」が最も多く、「双方向のみ」、「オンデマンドのみ」、「双方向とオンデマンドの組み合わせ」がほぼ同程度であった。双方向と対面の組み合わせ状況に合わせて柔軟に対応というケースもみられた。

2)最も多い授業形態(回答数:41件)

図1-2R.jpg①双方向が29.3%オンデマンドが24.4%双方向とオンデマンドの組み合わせが2.4%双方向・オンデマンドと対面の組み合わせが17.1%であった。⑤その他24.2%i.双方向と対面の組合せ、ii.後期より対面の割合を増加させるなど状況に合わせて双方向と対面の組み合わせ、iii.前期は双方向で後期は対面との組み合わせ、iv.座学はオンラインで実験実習は対面,v.前期は双方向とオンデマンドで後期は+対面の組合せ、vi.院生は双方向で学部生はオンデマンド、vii.双方向とオンデマンド+C-learningによる教材配信やレポート提出管理など状況に応じてオンラインと対面とを組み合わせて実施)であった。授業の実施形態として多いのは「双方向」であり、「オンデマンド」がそれに次いで多かった。

3)推奨システム(回答数:62件, 複数回答可)

図1-3R.jpgZoom 38.7%② Google Meet 8.1%③Microsoft Teams 32.3%④ Skype 0%その他が21%i.大学のWebシステム(8.1%)、ii.Webex4.8%)、iii.WebClass3.2%)、他にGoogle ClassroomC-learningMoodle(授業管理システム)等があげられた)であった。オンライン授業に利用したシステムとしては、「Zoom」と「Microsoft Teams」が多く、それは次項の回答にあるように,大学による契約と、その選定に考慮されたと考えられ、使い勝手とセキュリティーに信頼性が影響していたものと思われる。

4)上記のシステムが推奨された推奨理由(回答数:64件, 複数回答可)

図1-4R.jpg①セキュリティーが23.4%大学による一括契約などが56.3%使い勝手が17.2%料金が3/1%その他 0%であった。




5)生じたトラブル(回答数:49件, 複数回答可)

図1-5R.jpg①ネット接続の不具合が67.3%履修生以外の受講が2%画面共有などの不具合が16.3%その他が14.3%(参加者がオンライン会議システムに入れず再起動などにより対応、共有画面が一部の参加のスクリーンではフリーズして画面が進行しない等のトラブルや操作性の問題、事前説明により大きなトラブルが生じていない)であった。

6)オンラインの工夫

■表1 オンライン授業の実施で工夫している取組み

講義、実験・実習、評価、環境・支援に関して工夫している点については,上記表1に示すような回答があった。
 本設問では、各大学での多くの工夫が寄せられた。アンケート実施が後期授業の前半が進んだタイミングであり、一定の経験が蓄積され、取り組みのバリエーションが揃ってきた時期であったということであろう。1-(6)-2) の欄に「感染防止対策の上で対面実施」との答えがあり、オンライン授業を実施する中で、慎重な対応を取りながらも敢えて対面の必要に迫られて実施したことと判断し、カッコを付して記した。

2.コロナ禍における貴学での留学生の受入れについての状況や対応に

1)留学生入学の対応(回答数:85件, 複数回答可)

図2-1R.jpg①入学延期が25.9%入学後すぐに休学が21.1%、③遠隔での入学後オンライン教育の提供が40%その他12.9%(来日時期を遅らせる、後期より受入、来日までの間にオンラインでの受講を承認)であった。これは,コロナ禍で留学生の渡日が困難となったことに伴う対応としては、上記の①~③がある中で、留学生は入学した上でオンライン教育を提供されることを希望したケースが多かったということであり、入学延期や休学により学位取得時期が遅くなることを避けようとしたことによると考えられる。

2)最も多い対応(回答数:47件, 複数回答可)

図2-2R.jpg①入学延期が19.1%入学後すぐに休学が10.6%、③遠隔での入学後オンライン教育の提供が55.3%その他14.9%(奨学金の種類によって、同じ奨学金でも個人によって異なるケースあり、留学を断念する件もあり)であった。(2)の回答は(1)のように留学生の希望を考慮した結果といえよう。また、留学を断念するケースがあったことが明らかになった。

3)留学生の受入について新たな特別措置(回答数:41件)

図2-3R.jpg①入学延期が29.8%入学後すぐに休学が17%、③ 遠隔での入学と在籍が34%その他が19%(来日困難な学生は遡っての入学延期・休学を可能とする、休学在籍料の減免措置、入国出来ず母国での遠隔授業受講に通信障害等がある学生へ納入済み学費の次学期へのスライド対応、想定外の大幅な渡日の遅延により前期中に入学辞退を申し出た正規留学生に授業料及び入学料を返還、本年度に限り国際コースの4 月入学を許可、ダブルディグリー学生の場合は現地での入学と受講の措置、一部の留学生用前期開講科目を後期開講にずらす、コロナで渡航不可の場合の休学期間は修業年限に含まない)であった。コロナ禍における特別措置としては、「入学・休学期間の申し出」、「授業料納入時期や返済」、「休学期間の取り扱い」、更には「設定のない時期での入学」も可とするなど柔軟な措置がとられていたことが明らかとなった。

4)(上記3)有と回答)新たな特別措置及び措置の内容(回答数:47件,複数回答可)

図2-4R.jpg遠隔での入学と在籍(16件)が最も多く、次いで、入学延期(14件)、入学後すぐに休学(8件)と続いた。その他(9件)として、休学在籍料の減免措置、学費の次学期へのスライド対応、前期中に入学辞退を申し出た正規留学生に授業料及び入学料を返還、本年度に限り1.2.と併用して特例で学府国際コース修士留学生の4月入学の許可、ダブルディグリー学生の場合は現地入学と受講の措置、一部の留学生用前期開講科目を後期開講にずらす、コロナで渡航不可の場合の休学期間は修業年限に含まない措置、などがあげられた。

3.遠隔入学又は母国で待機中の留学生に対する教育・研究指導への課題や工夫

■表2 遠隔入学又は母国で待機中の留学生に対する教育・研究指導への課題や工夫

遠隔入学、あるいは母国で待機中の留学生に対する教育・研究指導への課題や工夫については、上記表2 に示すようなものであった。課題としては、留学生と教職員の間での情報の共有と考えている大学・部局が多いという結果であった一方で、受け入れの教員に対応が委ねられているという指摘もあった。また、渡日できない留学生が所属機関での業務を求められ負担が増しているという例が紹介された。母国にいる留学生への工夫としては、「時差考慮した上での遠隔指導」の他、「SNSを活用した指導」、さらには「母国語での対応」などが行われるなどの丁寧な対応も取られていたことが明らかになった。 
措置としては、大学による空港出迎え、来日後の待機期間中宿泊費の支給、秋入学予定者を来春入学として秋学期の講義は録画視聴と課題で単位付与などの対応が講じられていた。

4.海外キャンパスを設置している場合、コロナ禍における状況、課題や工夫

■表3 海外キャンパスでの状況,課題や工夫

海外キャンパスを設置している場合のコロナ禍における状況、課題や工夫については、上記表3 に示したような例があげられた。

ご連絡

アンケートの詳細につきましては、JISNASが編集をしております学術雑誌「農学国際協力」Vol.19に掲載しておりますのでご覧ください。


カテゴリ: JISNASの活動 |掲載日: 2021年4月 9日